地域の愛着と誇りを育む「つるのルーツ」プロジェクト
プロジェクト概要
「つるのルーツ」プロジェクトは、デジタル技術を駆使して山梨県都留市の歴史的価値を再発見し、市民に歴史を身近に感じてもらうことで、愛着を育み、シビックプライドを高めることに成功した事例です。
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【山梨県都留市】城が現存しない町の、城下町文化を次世代へ繋ぐプロジェクトが始動(PR TIMES)
歴史と愛着の再発見
都留市は江戸時代、城下町として栄えた町でした。
しかし、現代ではその歴史的な価値が忘れ去られ、市民の城下町への愛着も薄れていました。
観光戦略の一環として実施したアンケートでは、特に60歳以上の高齢者が城下町への強い愛着を持っている一方で、若い世代は愛着が薄いことが浮き彫りになりました。この結果から、若い世代へのアプローチの必要性が明確になりました。
プロジェクトの初期構想は、城下町の町並みを再現するARを実装することでしたが、「ARだけでは市民に城下町としてのアイデンティティが醸成されない」との意見から、まずコンセプトを再考することになりました。
ワークショップとコンセプト再考
都留市役所産業課とC-tableは、「都留市の良さ」を再確認するためのワークショップを実施。
その結果、新たなコンセプトのもとでARやWebサイト制作に取り組み、2023年5月にサービスを開始しました。市民が都留市の歴史を身近に感じ、愛着を持てるような企画を多数展開しました。
「つるのルーツ」3つの機能
「つるのルーツ」プロジェクトは、都留市に残る「城跡」「町並み」「文化」といった目に見える遺産だけでなく、市民性や地域のアイデンティティといった目に見えない価値にも焦点を当てています。このプロジェクトは、市民が都留市の歴史を自分ごととして感じ、興味を持つための以下の3つの機能で構成されています。
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資料をダウンロードいただけます。
1.歴史情報を発信するニュースサイト
都留市の知られざる歴史を掘り起こし、広く伝えるニュースサイト「つるのルーツ」を立ち上げました。このサイトでは、都留市の歴史や文化に関する多角的な情報を発信し、市民や訪問者が地域の歴史に親しむための基盤を提供します。
2.WebARで再現される「城下町・都留」
歴史的スポットである勝山城や谷村町などで、スマートフォンをかざすと「城下町・都留」の町並みがARで再現されます。これにより、現代の技術を通じて都留市の歴史を体感でき、市民や観光客が歴史を身近に感じる新たな体験を提供しています。
3.公式LINEによる市民参加型のポイントシステム
「つるのルーツ」公式LINEに友達登録すると、歴史記事の閲覧やARスポットの訪問で「城下町ポイント」が獲得できます。
これらのポイントは市内の提携店舗で利用可能で、市民が楽しみながら地域の歴史に触れる機会を提供しています。
さらに、市民が楽しめるクイズを作成・配信し、クイズや記事を通じて得られるポイントが地域経済の活性化にも貢献しています。市民の参加意欲を高める仕組みが整っています。
「つるのルーツ」利用者の城下町への愛着が大幅に向上
サービス開始1年後の2024年5月に実施した市民向けアンケートでは、従来「城下町」という観点での愛着が低かった若年層(40歳以下)でも、「つるのルーツ」利用者の愛着が高いことが明らかになりました。
さらに、世代やエリアに関係なく、「つるのルーツ」利用者は都留市への高い愛着を示しました。具体的には、「つるのルーツ」利用者は非利用者に対して城下町への愛着が15%高く、2022年度の調査と比較しても愛着の向上は18%高い結果となりました。(詳細のレポートはこちら)
地域の新しい未来を描く
「つるのルーツ」プロジェクトは、デジタル技術と市民の力を結集し、地域の魅力を再発見・発信することで、町の未来を築く取り組みです。
今後も市民参加型の活動を通じて、さらに多くの人々に地域の魅力を伝え、シビックプライドの向上を目指していきます。また、地域産業の活性化にも力点を置き、横断的視点でのまちづくりを推進します。地域の魅力を多角的に発信し、持続可能なまちづくりを提案していきます。