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【製造業DX事例|株式会社ユーシン】現場の「もどかしさ」を解消—二重入力ゼロと在庫リアルタイム化

【製造業DX事例|株式会社ユーシン】現場の「もどかしさ」を解消—二重入力ゼロと在庫リアルタイム化

段ボール製造で38年の歴史を持つ株式会社ユーシン(山梨県都留市)。長年培ってきた技術力とお客様との信頼関係が自慢の会社でした。

強い現場力の一方、業務は「受発注と納品・請求は別システム/図面は紙/在庫は現地確認」。その結果、「お客様からの問い合わせに、すぐに答えられない」「見積りに時間がかかる」「同じ作業を何度も繰り返している」—現場ではなく仕組みの問題でした。

創業から積み重ねてきた技術と経験を、もっと効率的に活かせないだろうか?
そんな想いから始まったユーシンのDXプロジェクトが、想像を超える変化をもたらしました。これは、中小企業におけるDXの成功事例です。

タブレット1台で現場が変わった

システム統合で作業時間を半減

これまで、受発注と納品・請求は別々のシステムで管理していました。同じ顧客データを2つのシステムに入力する毎日。「効率が悪いのは分かっているけど、どうしたらいいだろうか」という課題感からスタートしました。今回、受発注と納品・請求のデータをクラウドシステムに統合。二重入力が完全になくなり、本来の業務に集中できる時間が大幅に増加しました。

欲しい情報が瞬時に見つかる

「あの案件、どうやって探そう?」

豊富な過去実績があるのに、受注番号以外では検索できない仕様。お客様から「前回と同じで」と言われても、すぐにどの注文のことか分からないということもしばしばでした。

DXによって「お客様からの問い合わせに、その場で過去データを確認できる」「類似案件や過去案件をすぐに参照して、受注業務の効率化が図れる」ようになりました。

図面がいつでもそこにある安心感

「図面、誰が持っているかな?」

製造指示や図面は紙で回覧。必要な時に手元にないことがしばしば。生産時に図面の在り処を探す作業が発生することもありました。

DXによって製品画面から図面PDFを即座に表示。「図面探しで走り回る」時間がゼロになり、製造現場の効率が劇的に向上しました。

デスクで完結する在庫管理

「在庫確認に行ってきます」

正確な在庫数を知るには現地での目視確認が必須。「倉庫まで在庫を確認に行き、追加生産の数を決める」のが日常でした。

DXによってシステム連動でリアルタイム在庫表示。「計画を立てる時も、お客様への回答時も、デスクにいながら正確な数字で判断できる」安心感が生まれました。

全社がつながる一体感

Slack導入で納品・運行・事務が即時連携。QRコード読み取りによる位置情報付き納品報告で、「今、どこで何が起きているか」が全員で共有できるようになりました。

導入のポイント:現場に寄り添った3ステップ

STEP1:既存の良さを活かしながら統合

「今までのやり方を否定するのではなく、良い部分は残して効率化」というアプローチ。現場の抵抗感を最小限に抑えました。

STEP2:慣れ親しんだ紙も活用

「デジタル化=紙を完全廃止」ではなく、紙の良さとデジタルの利便性を使い分け。現場が無理なく移行できるようサポートしました。

STEP3:段階的な工数管理導入

いきなり全工程をデジタル化するのではなく、現場のペースに合わせて段階的に拡張。「使いながら慣れる」安心感を作っていきました。

私たちが考えるDX推進のアプローチ

再設計から始める私たちの方針

私たちは、DXを「どのツールを選ぶか」ではなく「業務とデータの流れ」の問題として捉えています。同じデータの重複入力、資料探しに費やされる時間、承認待ちで止まるプロジェクト—これらの解決には、組織全体の情報流通と意思決定プロセスの見直しが不可欠だと考えています。

私たちの実践方法

段階的な変化を重視

私たちは完全デジタル化を急ぎません。現場が使い慣れた紙の良さを残しながら、検索性と共有性を段階的に向上させます。また、新しいツール導入時は既存の非効率プロセスを同時に見直し、追加ではなく置き換えを基本とします。

データを合意形成の道具として活用

私たちは、データを単なる記録ではなく「誰が見ても同じ結論に至れる合意装置」として設計します。これにより、属人的な知識を尊重しながら、組織の意思決定力を向上させていきます。

現場目線での改善を伴奏支援

私たちは壮大なビジョンより、日々の業務で実感できる小さな改善を積み重ねます。業務の副産物として自然にデータが蓄積される仕組みを作り、新たな入力負担は増やしません。美しいダッシュボードより、具体的なアクションにつながる情報提供を重視します。

私たちが目指す成果

現場の「探す・待つ・やり直す」時間の削減は、品質向上、納期短縮、収益性改善、そして人材定着にも好影響をもたらします。私たちは、現場を楽にすることが組織を強くするという信念のもと、継続可能で実践的なDXを推進していきます。

データの統合と一元化を基盤として、その上で可視化や自動化を展開することで、投資対効果を最大化し、長期的な競争力向上を実現します。

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