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ヤマハモーターエンジニアリング様向け生成AIワークショップレポート

ヤマハモーターエンジニアリング様向け生成AIワークショップレポート

はじめに

この度、ヤマハモーターエンジニアリング様の技術者や担当者の皆様を対象に、生成AI(Generative AI)の実践的な活用と、業務効率化の可能性を探る体験型ワークショップを実施いたしました。

ヤマハモーターエンジニアリング様ホームページ

参加者の皆様には、ワークショップ開始前の自己紹介を通じて、既にCopilotやChatGPTを日常的に利用している方がいる一方で、「知らないことをたくさん教えてほしい」、「業務にどう活用すればよいか」といった、より実践的で深い知識への強い期待が確認されました。

本ワークショップでは、これらのニーズに応え、以下の3点を主なゴールに設定しました:

  1. 生成AIの全体像と主要ツールの理解

  2. 業務に直結する具体的な活用方法の体得

  3. 自社の業務課題に生成AIを活用する実践力の獲得

座学(インプット講義)だけでなく、実際にCopilotなどのツールに触れ、参加者同士で具体的な業務課題の解決策を検討するグループワーク形式を採用することで、明日からの具体的な行動変容に繋がることを目指しました。

プログラム概要

本ワークショップは、以下のプログラム構成で実施しました:

参加者アンケート結果

ワークショップ終了後、参加者よりアンケート回答をいただきました。技術系業務に特化した活用事例や実践的なプロンプト設計に関する内容が、高い評価を得ました。

定量結果(10点満点・18名回答)

  • ワークショップ全体の満足度:約9.2点(7点〜10点)

  • 内容の理解度:約8.6点(7点〜10点)

  • 生成AIを業務に活かせそうか:約8.7点(7点〜10点)

印象に残ったこと・気づき(抜粋)

プロンプト設計の重要性

  • 「プロンプトが大事。それをAIで作らせることに驚き」

  • 「プロンプトすらAIに作成してもらうということに驚いた」

効率化への衝撃

  • 「実演でデータ分析をして、自分の結果と遜色ないものが一瞬でできた」

  • 「議事録作成が、今まで知らなくてすごい損してた」

AIとの関わり方

  • 「命令と欲しい情報を明確にすることの重要性を改めて知ることができた」

  • 「(AIに)丸投げではなく適切な検索・指示をすることが重要」

検索概念の転換

「今までの検索の概念が頭から離れず、キーワードを入れていたが、この使い方をすればこの答えが返ってくるんだと分かった」

総括

定量結果から、参加者の満足度9.2点、業務活用意向8.7点、推奨度8.8点という高い評価が得られました。特に注目すべきは、全参加者が業務活用意向7点以上と回答している点です。これは、生成AIの業務活用に対する具体的なイメージを持ち、実践への意欲が高まったことを示しています。
また、グループワーク・AI対話形式の有用性が9.1点と高い評価を得たことから、座学だけでなく、実際にツールに触れ、グループで議論し、自社の課題に落とし込むという体験型の学習アプローチが効果的であったことが確認されました。参加者からは「座学ではなく実践的で有意義だった」「実際に使った方が理解が早い」という声が寄せられています。

インプット講義の概要

本ワークショップでは、以下のトピックについてインプット講義を行いました。

1. 生成AIの基礎知識と全体像

  • 従来のAIと生成AIの違い

  • 普及の要因

  • 日本の生成AI活用状況(令和7年版情報通信白書より)

  • 企業における生成AI活用状況(東京商工リサーチ2025年「生成AIに関するアンケート」調査より)

  • 生成AIの種類と用途

インプット講義では、動画生成AI「Sora2」のデモンストレーションも行われました。「ヤマハさんのバイクが空を飛んでいる」というプロンプトから、雲の上をバイクが疾走する映像が生成され、参加者から驚きの声が上がりました。テキストから高品質な動画が数分で生成される様子は、生成AIの可能性を実感させるものでした。

2. プロンプト設計の極意と実践的な活用法

  • 指示出しの基本

  • 効果的なプロンプトの3要素(役割の指定、条件の指定、出力形式の指定)

  • マークダウン形式の利用

  • 発想の転換・プロンプトの自動生成

3. 技術者向け実践デモンストレーション

  • 技術論文の解説

  • CAD図面からの部品表抽出

  • 文書作成の効率化

  • Google AIツールの紹介(NotebookLM、Nano Banana)

4. 生成AIのリスクと注意点

  • 情報漏洩リスク

  • 著作権・知財リスク

  • 誤りや偏り(ハルシネーション)

  • 依存リスク

ワーク内容詳細

【ワーク①】Copilotを使ってみよう

参加者は5つのステップでCopilotの基本操作を体験しました:

  • ステップ1:挨拶してみよう

  • ステップ2:質問してみよう

  • ステップ3:身近な相談をしてみよう

  • ステップ4:メモから文章を作ってもらおう

  • ステップ5:創作を頼んでみよう

続いて、自分のプロンプトを作成する時間(10分)を設け、以下の3要素を意識して取り組みました:

  • テーマを決める:日常の気になること、遊びや雑学、創作アイデアなど

  • 条件を付け加えてみる:「3つ挙げて」「200文字程度で」「小学生向けに」など

  • やり取りを重ねて、より良い答えを引き出してみる:「もっと短く」「別の案もください」「ユーモアを加えて」など

【ワーク②】業務想定で使ってみよう

参加者は普段の業務をイメージして、Copilotに問いかけ、プロンプトを1〜2つ入力し、返答を確認しました。以下のような例が紹介されました:

  • このExcelデータから傾向を分析して

  • この議事録をわかりやすく要約して

  • 技術マニュアルの下書きを作って

  • ○○の技術情報を教えて

【ワーク③】業務課題の解決策を考えよう

このワークでは、以下の3ステップで業務課題の解決策を検討しました:

  • 業務課題の洗い出し(個人ワーク10分):日常の業務の中で「時間がかかっている」「困っている」「改善したい」ことを付箋に書き出し

  • Copilotを活用した解決策のアイデア出し(個人ワーク15分):挙げた課題の中で解決したい課題を選び、Copilotを使ってどう解決できそうか考える

  • 張り出し・投票・ベスト5発表(20分):課題シートを全員の前に出し、皆で回覧。「解決したい」と思う課題にシール投票し、上位5件を発表

ワーク③:課題とAIを用いた解決策の検討例(グループ発表より)

【課題1】業務報告書の作成時間短縮

  • AIによる解決策のアイデア:報告テーマ選定の自動化(プロジェクト日程表を活用)、表や概念図のライブラリ化、箇条書きからの報告書文章への自動変換

  • インパクト・課題:自動抽出の仕組み(Excel等を利用)の検討が課題。ライブラリ化はすぐにでも取り入れたいアイデア。

【課題2】技術情報作成の効率化

  • AIによる解決策のアイデア:テンプレート形式でのまとめ作成、専門用語の一般語への変換、内容の要約

  • インパクト・課題:継続的に情報が更新される仕組みを構築し、最新情報へアクセスしやすくすることが必要。

【課題3】CADデータの解析と検索性強化

  • AIによる解決策のアイデア:CADデータをテキストベースでアウトプットすることで検索可能にする。技術を定量化・形式知化する。

  • インパクト・課題:ファイル形式の複雑性や日本語解析の難しさ、全社的な検索環境構築が課題。

【課題4】企画書作成における視点の創出

  • AIによる解決策のアイデア:技術やノウハウをテキストベースで定量化・形式知化する、社内のネットワークを利用し、全社的に検索可能な環境を構築する。

  • インパクト・課題:アイデアの幅を広げる壁打ち相手として有効だが、生成された効果の根拠を人間が補強する必要があり、尖りすぎた案の現実性も課題。

【課題5】技術の属人化

  • AIによる解決策のアイデア:効果を示す試算表やグラフの仮作成を依頼する。ベンチマーク情報やデータの収集を任せる。

  • インパクト・課題:解決策の実現には、AIツール単体ではなく、全社的な検索環境を構築する必要があること。

参加者からは、AIを壁打ち相手として使うことの有用性が実感された一方、CADデータのような複雑な技術データの取り扱いにおいては、データ形式や社内ネットワーク環境など、AIツール単体では解決できない組織的な課題が明らかになりました。

参加者の気づき・学び

ワークショップを通じて、参加者からは以下のような前向きな気づきや感想が寄せられました。

  • プロンプト設計の重要性:役割や条件を明確に指定することが出力の精度を大きく左右することを理解した。特に「プロンプト自体をAIに作ってもらう」という手法は、多くの参加者に衝撃を与え、明日からの活用意欲を高めました。

  • 業務効率化の可能性:普段時間がかかっているデータ分析や議事録作成が「一瞬で完了した」ことに驚きがあり、「損をしていた」という声も聞かれました。

  • 活用の幅の広がり:今まで検索キーワードを入れていた使い方が、「困っていることや相談」をAIに投げるという、新しい活用方法を意識するようになったとのことです。

  • リスクへの意識:リスクに関する講義を受けたことで、AI利用の線引きの重要性を再確認し、必要以上にAIを怖がらず、注意点に留意しながら活用していきたいという意向が示されました。

  • 実践形式の価値:グループワークを通じて、「普段関わらない社内の同僚の活用方法や考えを聞くことができた」、「メンバーの意見を聴けて参考になった」という評価があり、体験型の学習アプローチが有効であったことが確認されました。

まとめ

本ワークショップは、ヤマハモーターエンジニアリング様の技術者の皆様に対し、生成AIの基礎から、特に技術業務に直結する具体的な活用事例をイメージしていただくことができました。
参加者の多くが「プロンプト自体をAIに委ねてみる」という発想の転換や、普段の業務課題をAIを「壁打ち相手」として活用する具体例を体得したことで、業務活用意向が平均8.7点という具体的な行動意欲を持つに至りました。
今後は、この学びを活かし、各自の業務に積極的に生成AIを取り入れ、さらなる業務効率化に繋げていただきたいと思います。

C-tableの優位性:AI導入を成功に導く4つの強み

私たちのワークショップには、以下の強みがあります。

  1. 研修を超えて、未来を描く対話を促す

    ツールの使い方ではなく、「AIでどう未来を描くか」を共に考える。
    だから学びが「知識」ではなく「行動」へつながる。

  2. トップダウンではなく、ボトムアップ

    経営層の号令ではなく、現場の「やってみたい」から始める。
    小さな挑戦が全体の文化を変えるエネルギーになる。

  3. 操作指導ではなく、心理変容を設計

    「体験+対話」を組み込む。
    「AIで何ができるかわからない」から「業務へ活かしたい」へと認識を変える。

  4. 実証で終わらず、実装まで伴走

    ワークショップ後もアイデアを試作・業務に組み込む相談のフォローアップを実施しています。

     

AI導入は「IT投資」ではなく「人への投資」。最初の一歩をご提案します。

都留市役所で行った生成AI体験ワークショップを通じて、改めてはっきりしたことがあります。
それは──AIの価値は「操作方法を覚えること」ではなく、「組織の文化を変えること」にあるということです。

AIそのものは、あくまで道具にすぎません。
本当に大切なのは、「その道具をどう使い、どんな未来を描くのか」を組織全体で考えることです。

C-tableは、その対話を後押ししながら、現場から始まる小さな一歩を、やがて大きな変化へと育てていく伴走をします。

お問い合わせ

当社では、自治体さまや多数の地域企業さまのデジタル変革を伴走支援しています。また、人と組織のためのAI活用を目指す「生成AI体験ワークショップ」も開催しております。デジタル、生成AIを活用した業務変革、組織変革、人材育成研修をご検討の方は、是非お気軽にお問い合わせください。

まずは30分の無料相談から、貴社のAI活用の第一歩をデザインしてみませんか?

・生成AI体験ワークショップ
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