警備・葬儀会社様向け 生成AIワークショップレポート


はじめに
この度、警備・葬儀業務を担う株式会社ケイビイワイ様を対象に、生成AI体験ワークショップを実施しました。
参加者の多くは、事前アンケートや冒頭の自己紹介ワークで、AIを「全く触ったことがない」、「面白そうだが怖い」、「内容がよくわからない」といった感情を抱いていることが確認されました。


そこで今回のワークショップでは、以下の3点をゴールに設定しました。
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生成AIとは何かという基礎理解
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安全かつ効果的な使い方を体験すること
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自社の業務でどう有効活用できるかイメージできること
座学だけでなく、実際に生成AIに触れるワークショップ形式を採用することで、参加者の実践意欲や行動変容に寄与することを目指しました。
参加者アンケート結果
ワークショップ終了後、参加者13名のうち10名からアンケート回答をいただきました。生成AIに初めて触れる方が多い中、高い満足度と具体的な活用意欲が確認されました。
定量結果(10点満点)
満足度:平均8.8点
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10点(非常に満足):40%
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9点:10%
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8点:20%
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7点:20%
8点以上の評価が70%を占め、全体的に高い満足度が得られました。


業務活用意向:平均9.0点
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10点(非常に活かせそう):50%
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9点:20%
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8点:30%
全参加者が8点以上と回答し、業務への具体的な活用イメージを持つことができました。


ワークショップ形式の有用性:平均9.2点
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10点(非常に有用):60%
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9点:20%
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8点:10%
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5点:10%
講義だけでなく、グループワークやAIとの対話を取り入れた実践形式が高く評価され、90%の参加者が8点以上と回答しました。


参加者の声(印象に残ったこと・気づき)
ワークショップを通じて、多くの前向きな気づきが得られました。
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「思ったよりもAIを身近に感じることができた」
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「意外と簡単に利用できる」
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「1つの問いに、色んな回答があることに驚きました」
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「入れてはいけない情報」「ルールを守らないと大変な事になる」
参加者からは、AIの手軽さと可能性を実感する一方で、情報セキュリティやルール遵守の重要性についても強い関心が寄せられました。
業務に取り入れたいこと
具体的な活用アイデアとして、以下のような声が挙がりました。
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メール文章作成
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得意先との交渉内容や、打合せの報告書作成に伴う時間短縮
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葬儀の案内文など
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チラシ作成
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文書作成全般
文書作成業務を中心に、明日からすぐに活用できる具体的なイメージが形成されたことが確認できました。


インプット講義(基礎とリスク)
講義の前半では、生成AIの基礎知識と、参加者が強い関心を寄せていたリスクと注意点について重点的に解説しました。
生成AIの全体像
従来のAIが「過去のデータから最適な答えを判断する」のに対し、生成AIは「学習した知識に基づき、新しい文章、画像、音声、コードなどを新しく作り出す」技術であると説明しました。
世界と日本の生成AI活用状況
世界と比較し、日本は生成AI活用において遅れをとっており、利用率も低いという話をしました。
企業における活用では、「業務効率化」が主な目的である一方、導入を妨げる要因として以下が挙げられる状況を共有しました。
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AIをリードする人材の不足
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具体的な効果の評価が難しいこと
生成AIのリスクと注意点
参加者からの関心が高かったため、前半のワークに入る前に、特に注意すべき4つのリスクを共有しました。
1. 情報漏洩のリスク
2. 著作権・知財リスク
3. 誤りや偏り(ハルシネーション)
4. 依存リスク


ワーク1:ChatGPTに触れてみる
参加者の多くがAI未経験であったため、まずは「使い方のコツ」を掴むことを目的に、業務外のテーマでChatGPTを自由に触ってもらいました。
具体的な試行例
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今日の夕食の献立
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旅行プランの提案
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個人的な質問など
参加者の気づき
このワークを通じて、生成AIは自然な会話形式で回答してくれることを体験した一方、「曖昧な指示には曖昧な答えしか返ってこない」という共通認識が生まれました。
良いアウトプットを得るためには、以下のような条件を具体的に指示することが重要だと学びました。
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役割
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目的
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文体
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文字数


インプット講義(実践的な活用)
講義の後半では、エンジニアによるデモンストレーションを通じて、警備・葬祭業務での具体的なAI活用方法を紹介しました。
プロンプト設計の実例
文章作成が苦手な人が多いという課題に対し、AIがどう役立つかを紹介しました。
警備業務の例
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巡回報告書の作成
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シフト表の作成
葬儀業務の例
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お客様への挨拶文の作成
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葬儀プランの説明文の作成
共通業務の例
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議事録
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マニュアル作成
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お客様へのメール対応
応用編デモ:AIによる業務自動化
AI活用は単なる文章作成に留まらないことを示すため、業務を自動化するデモを実施しました。
シフト表作成
警備員3名のローテーション制のシフト表を、ルールを指示するだけでAIに作成させました。ただし、AIが日付や曜日に間違いを混入させた例も提示し、最終的な確認は人間が必要であると改めて強調しました。
苦情処理簿の作成
現場スタッフからの曖昧な口頭報告(例:駐車場の状況、時間帯、制服の人物など)をインプットとして与えると、AIが瞬時に体裁の整った苦情処理簿のひな形を自動で作成するデモを披露しました。これにより、普段の業務で発生する文書作成や報告作業を、ボタン一つで実行できる「システム化」が可能になることを示しました。


ワーク2:業務課題の解決策を聞いてみよう
参加者は、実際に抱える業務課題(時間がかかっていること、困っていること、改善したいことなど)を洗い出し、その解決策を生成AIに相談しました。
具体的な課題とAIを用いた解決策の検討例
課題1:年間イベントのチラシ作成に時間がかかる
文章、イラスト、レイアウトの全てを一から考える必要があり、制作に多くの時間を要しているという課題が挙げられました。
この課題に対して、AIにテーマ、配色、装飾ポイントを指示することで、複数のレイアウトと文章例を自動生成させることができました。参加者からは「すぐにこのまま使える」という声があり、即座に業務に活用できる具体的な成果が得られました。
課題2:伝票入力作業でのミスが発生する
手書きの伝票を後からシステムに入力する際、転記ミスや入力漏れが発生しやすいという課題が共有されました。
生成AIによる解決策として、紙伝票を廃止してシステムで直接入力する方法、二重チェック体制の強化、作業時間を分散させて集中力を保つ工夫などが提案されました。これにより、業務フローの見直しと改善の方向性が明確になりました。
課題3:備品・在庫の持ち出し管理に手間がかかる
現場で使用する備品や在庫の持ち出し・返却管理に時間がかかり、台帳の記入漏れや在庫数の不一致が課題となっていました。
生成AIからは、持ち出し管理台帳のシステム化、バーコード管理の導入、電算在庫との連携といった解決策が提案されました。ただし、実現に向けては現場スタッフの意識改革や予算の確保など、「乗り越えなければならない課題」も可視化され、段階的な改善が必要であることが確認されました。


参加者の気づき・学び
ワークショップを終え、多くの参加者から「生成AIは想像以上に身近で、業務に活かせる」というポジティブな感想が寄せられました。
可能性の発見と手軽さ
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「思った以上に色々なことができる」
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「もっと難しいものかと思ったが、手軽にできることを実感できた」
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「娘は使っているが、自分も習得したい」
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「今日を機に、スマホにもアプリを入れて活用したい」
リスクと依存への意識
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「生成AIに依存しすぎると自分で考えなくなってしまう」
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「やはり機械だけに頼らず、自分の目で確認し、最終的な判断は人間だと感じた」
など、リスクを踏まえた上での利用姿勢の重要性が共有されました。
具体的な業務への適用
明日からの具体的な行動として、以下のような声が挙がりました。
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「メールの言葉選びや文章作成に活用したい」
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「シフト表をうまく作れるか試したい」
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「早速チラシを作ってみる」
社長からの提言
参加していただいた社長様からは、AIは便利である一方、以下のような重要な提言がありました。
「何でも便利だと使って、問題が起きてしまったということがないよう、まずはルール化(ガイドライン作成)してから使っていく」
組織的な活用に向けた、重要な視点が共有されました。
まとめ
今回のワークショップを通じて、生成AI未経験者が多かった参加者の皆さんに、生成AIの基礎とリスクを理解していただきました。
さらに、文書作成、報告書作成、チラシ作成など、普段の業務効率化に直結する活用法を具体的にイメージでき、「今日から始められる」という確かな実感が得られたことは大きな成果です。
今後は、この学びを活かし、安全性を確保した上で、業務に積極的に生成AIを取り入れ、業務を楽にしていただくことを期待します。
C-tableの優位性:AI導入を成功に導く4つの強み
私たちのワークショップには、以下の強みがあります。
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研修を超えて、未来を描く対話を促す
ツールの使い方ではなく、「AIでどう未来を描くか」を共に考える。
だから学びが「知識」ではなく「行動」へつながる。 -
トップダウンではなく、ボトムアップ
経営層の号令ではなく、現場の「やってみたい」から始める。
小さな挑戦が全体の文化を変えるエネルギーになる。 -
操作指導ではなく、心理変容を設計
「体験+対話」を組み込む。
「AIで何ができるかわからない」から「業務へ活かしたい」へと認識を変える。 -
実証で終わらず、実装まで伴走
ワークショップ後もアイデアを試作・業務に組み込む相談のフォローアップを実施しています。
AI導入は「IT投資」ではなく「人への投資」。最初の一歩をご提案します。
都留市役所で行った生成AI体験ワークショップを通じて、改めてはっきりしたことがあります。
それは──AIの価値は「操作方法を覚えること」ではなく、「組織の文化を変えること」にあるということです。
AIそのものは、あくまで道具にすぎません。
本当に大切なのは、「その道具をどう使い、どんな未来を描くのか」を組織全体で考えることです。
C-tableは、その対話を後押ししながら、現場から始まる小さな一歩を、やがて大きな変化へと育てていく伴走をします。
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当社では、自治体さまや多数の地域企業さまのデジタル変革を伴走支援しています。また、人と組織のためのAI活用を目指す「生成AI体験ワークショップ」も開催しております。デジタル、生成AIを活用した業務変革、組織変革、人材育成研修をご検討の方は、是非お気軽にお問い合わせください。
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