その会議の決定事項、Slackの中に埋もれていませんか

1時間のオンライン会議が終わる。文字起こしは残っている。Slackには資料のURLと、会議中に交わされた補足のコメントもある。

ところが翌日、「結局、何が決まったんでしたっけ」「この作業は誰の担当ですか」という確認が始まります。

議事録をつくるには、文字起こしを最初から読み直し、話題ごとに整理し、決定事項とTODOを抜き出さなければなりません。担当者や期限が決まっていれば、タスク管理システムにも登録します。

会議が1回なら対応できます。しかし、複数のプロジェクトが同時に動く会社では、この作業が毎週積み重なります。

議事録がつくられない会議も出てきます。つくられても、決定事項が本文の中に埋もれたり、タスク管理システムへの登録が後回しになったりします。

情報は残っています。それでも、次の仕事に使える状態にはなっていません。

C-tableでは、この問題に対して、SlackにAIを常駐させる取り組みを進めています。

SlackにいるAIは、質問に答えるだけではない

生成AIというと、専用のチャット画面を開き、文章の作成や調べものを頼む使い方が一般的です。

C-tableでも文章作成やプログラミングにAIを使っています。ただし、社内で「Claw」と呼んでいるAIは、それだけではありません。

Clawは普段使っているSlackに参加しています。社員はSlack上で、ほかのメンバーに頼むのと同じように仕事を依頼します。

  • この文字起こしから議事録をつくってください
  • 決定事項と担当者別のTODOを整理してください
  • この案件の進捗を確認してください
  • 完了報告に対応するタスクを探してください
  • 来週取り組むタスクを登録してください

AIが回答を返して終わるのではありません。必要に応じてDocBaseや社内の進捗管理システム「電才」と連携し、情報の確認や登録まで進めます。

Slackでの依頼 AIが確認する情報 処理する場所
会議の議事録をつくる 文字起こし、関連資料、Slack上の補足 DocBase
案件の進捗を確認する 案件、タスク、担当者、期限、ステータス 電才
完了報告を反映する Slackの報告内容、該当タスク、現在の状態 電才
過去の経緯を調べる 過去の議事録、決定事項、社内メモ DocBase

Slackを仕事の入口にし、AIが必要なシステムへつなぐ。これが、C-tableで現在試している働き方です。

事例1:文字起こしを、DocBaseの議事録へ変える

会議の文字起こしは、そのままでは読みやすい議事録になりません。

発言が途中で切れている。話題が前後する。雑談や言い直しが混ざる。担当者は決まったものの、期限までは決まっていない。音声認識が人名や製品名を間違えていることもあります。

Clawは文字起こしを読み、内容を次のように整理します。

  • 会議の概要
  • 議題ごとの内容
  • 決定事項
  • 確認事項
  • 担当者別のTODO
  • 次回までに進めること

必要に応じて、元の文字起こしや会議資料も添付します。そのうえで、すでに同じ会議の議事録が登録されていないかを確認し、社内ナレッジ共有サービスのDocBaseへ登録します。

たとえば、1時間の会議で複数の案件や担当者について話した場合でも、社員は文字起こしをSlackへ共有し、「議事録にしてください」と依頼できます。

AIが会議の内容を整理し、人は完成した議事録を確認する。

これは、議事録作成をなくす仕組みではありません。文字起こしを最初から編集する作業を、AIが整理した内容の確認へ変える仕組みです。

議事録を残す目的は、記録ではなく再利用です

議事録をDocBaseへ登録すると、会議に参加していない人も内容を確認できます。

数週間後に「なぜこの仕様になったのか」を調べることもできます。担当者が変わった場合には、過去の経緯を引き継ぐ資料になります。

Slackだけで会話をしていると、情報は時間とともに流れていきます。検索できたとしても、複数の投稿やスレッドを読み、何が正式な決定だったのかを判断しなければなりません。

DocBaseには、整理された決定事項や経緯を残す。Slackは日々の会話や依頼に使う。

役割を分けることで、会話を会社の知識として使い直せるようになります。

事例2:MCPを使い、AIが進捗管理システムを確認する

議事録からTODOを抜き出せても、その後の進捗が分からなければ仕事は止まります。

「この作業は、もう終わっているのか」
「担当者は誰なのか」
「期限はいつなのか」
「Slackでは完了報告があるのに、タスクは対応中のままではないか」

これらを確認するには、従来は人が進捗管理システムを開き、案件名やタスク名を入力して探す必要がありました。

C-tableでは、MCPを使ってAIと社内システムを接続しています。

MCPは、AIが外部のシステムから情報を取得したり、許可された操作を行ったりするための接続方式です。

ClawはMCPを通じて、社内システム「電才」の案件やタスクを検索できます。

たとえばSlackで、「この案件の進捗を確認してください」と頼むと、Clawが電才から次の情報を取得します。

  • 案件の現在の状態
  • 登録されているタスク
  • 各タスクの担当者
  • 開始日と期限
  • 未完了や期限超過のタスク

社員は電才の画面を順番に開かなくても、Slack上で必要な情報を確認できます。

実際に、Slackの完了報告からタスクを更新しました

C-tableでは、毎月行う業務の完了報告がSlackへ投稿されることがあります。

以前は、報告を受けた人が電才を開き、該当する案件とタスクを検索し、ステータスを「完了」へ変更する必要がありました。

現在は、Slack上の報告をもとにClawが該当タスクを探します。

実際に、施設予約システムの月次処理について「CSVの取り込みと確認が完了した」という報告を受け、Clawが電才上の対象タスクを特定しました。

ただし、その場で勝手に更新はしません。

まず、次の内容をSlackへ提示します。

  • 更新する案件とタスク
  • 現在のステータス
  • 変更後のステータス
  • 追加するコメント
  • 更新時の注意点

人が内容を確認して承認したあと、Clawがタスクを「対応中」から「完了」へ更新しました。

AIが報告内容を読み、システム上の対象を探し、人の承認後に反映する。Slack上の会話と進捗管理が、ここでつながります。

事例3:電才で、案件・タスク・工数を一つにつなぐ

C-tableでは、社内の案件管理、タスク管理、工数管理を行うシステムとして「電才」を開発しています。

以前は、タスク管理と工数入力に別々の仕組みを使っていました。Slackで仕事を依頼し、タスク管理システムへ登録し、作業後は別のシステムへ工数を入力する。

同じ仕事について、複数の場所を更新する必要がありました。

電才では、次の情報を関連づけて管理します。

  • 顧客
  • 案件
  • タスク
  • 担当者
  • 開始日と期限
  • ステータス
  • 予定工数と実績工数

案件とタスクだけでなく、「誰が、どの仕事に、どれだけ時間を使ったか」まで一つの流れで確認するためです。

これをClawと接続すると、Slackからタスクの確認や登録を依頼できます。

たとえば、「MCPの工数入力・集計機能を開発する」という仕事が決まった場合、案件名、担当者、対応期間をSlackで伝えれば、Clawが電才へ登録する情報を整理します。

登録後は、タスクIDと設定した内容をSlackへ返します。

依頼した人が別の画面を開き、顧客、案件、担当者、日付を一つずつ選び直す必要はありません。

会話、記録、実行を分断しない

現在のC-tableの構成は、次のようになっています。

役割 使用する場所
相談、依頼、報告 Slack
会議の経緯、決定事項、社内知識 DocBase
案件、タスク、担当者、期限、工数 電才
AIと各システムの接続 MCP
内容の整理、検索、登録支援 Claw

Slackだけにすべてを保存するわけではありません。DocBaseや電才だけで仕事を進めるわけでもありません。

社員は普段使っているSlackから依頼し、AIが依頼内容に応じて必要な場所を確認します。

議事録として残す内容はDocBaseへ。担当者や期限を持つ仕事は電才へ。

これにより、Slackで交わされた会話を、記録やタスクへ移す作業を減らせます。

AIに、どこまで操作させるか

AIが社内システムへ接続する場合、便利さだけでなく、誤操作や権限についても考える必要があります。

特に注意が必要なのは、タスクの削除、担当者の変更、完了処理など、ほかの人の仕事に影響する操作です。
[20:49]C-tableでは、操作の種類に応じて扱いを分けています。

操作 基本的な扱い
案件やタスクの検索 AIが実行する
進捗状況の整理 AIが実行する
新しいタスクの登録 内容を確認してから実行する
ステータスや担当者の変更 変更前後を提示し、承認後に実行する
削除など影響の大きい操作 原則としてAIへ自由に実行させない

重要なのは、AIに広い権限を与えることではありません。

任せてよい作業と、人が確認する作業を先に決めることです。

AIが候補を探し、変更内容を準備し、人が最後に判断する。この形であれば、確認の負担を減らしながら、誤った更新も防ぎやすくなります。

AIは、最初から会社のことを知っているわけではない

SlackにAIを追加しただけで、すぐに会社の仕事を任せられるわけではありません。

AIは、社内で使っている案件名、担当者、業務の進め方、公開範囲、承認ルールを最初から知りません。

使える状態にするには、会社側の情報も整理する必要があります。

  • 顧客、案件、タスクの関係をそろえる
  • 議事録の書式を決める
  • 担当者と期限を記録する
  • どの情報をDocBaseへ残すか決める
  • AIが実行できる操作と、承認が必要な操作を分ける
  • 過去の判断や業務ルールを検索できるようにする

情報が整理されるほど、AIは会社の文脈に沿って動きやすくなります。

逆に、案件名が人によって違い、担当者や期限が決まっておらず、決定事項がSlackの会話だけに残っている状態では、AIも正しい対象を選べません。

AIを働かせる準備は、業務と情報の整理から始まります。

AIネイティブ化は、仕事を「依頼できる形」にすること

C-tableが目指しているのは、すべての業務をAIへ任せることではありません。

会議で議論し、優先順位を決め、顧客と向き合うのは人です。

その一方で、文字起こしを読み直す、決定事項を整理する、該当タスクを探す、同じ内容を別のシステムへ転記するといった作業は、AIへ任せられる範囲が増えています。

これまで人が画面を開き、検索し、コピーしていた仕事を、Slackで依頼する仕事へ変える。

AIネイティブ化とは、AIツールをたくさん導入することではなく、人が行っている仕事を整理し、AIにも依頼できる形へ変えることだと私たちは考えています。

まずは、毎週繰り返している仕事を一つ

「自社でもAIを使いたい」と考えても、最初からSlack、議事録、タスク管理、工数管理をすべてつなぐ必要はありません。

まずは、毎週繰り返している仕事を一つ選びます。

会議後の議事録作成。Slackで受けた依頼のタスク登録。週次の進捗確認。月末の工数集計。

手順を書き出すと、人が情報を探している場所、同じ内容を入力している場所、確認のために待っている時間が見えてきます。

C-tableでは、自社のSlack、DocBase、電才を使いながら、AIに任せられる部分と、人の確認を残す部分を一つずつ検証しています。

AIのデモを見せるだけではなく、実際の業務へ入れたときに何ができ、どこで人の判断が必要になるのか。その運用も含めてお見せできます。

会議のあと、誰かが毎回議事録をまとめている。

Slackで依頼したあと、同じ内容を別のシステムへ入力している。

進捗を確認するために、複数の画面を行き来している。

思い当たる仕事があれば、まずはその一つからご相談ください。