「部門間の連携がない」
「視野が狭い」
「自律的に動けない」

従業員についてこういった課題意識をお持ちの経営者も多くいらっしゃいます。
しかしその要因は「取引コスト」が高いことかもしれません。

実はDXやAI導入の効果は、業務効率をあげることだけではありません。
経営にとって本当に大きな効果は、「取引コストを下げ、社内外の人と協力しやすくすること」です。

「取引コスト」とは、経済学で使われる概念です。
商品やサービスの価格とは別に、取引を進めるためにかかる時間や労力を指します。
相手や情報を探す、条件を話し合う、進捗を確認する。
こうしたコストが高いと、協力したくても「割に合わずに出来ない」と判断されてしまいます。

取引コストとは何か

取引コストとは、取引に伴い価格以外に発生する時間や労力などを取引コストと整理しています。大きく分けると、次の3つです。

取引コスト 会社で起きていること
情報を探し、伝えるコスト 担当者、資料、予定、進捗を探す。状況を一から説明する
話し合い、決めるコスト 会議を設定する。数字や前提を揃える。関係者の合意を取る
約束どおり進んでいるか確認するコスト 作業状況、品質、支払いなどを確認する

社内の連携にも、お客様や取引先との協力にも、この取引コストが発生しています。
協力が進まないのは、人間関係や意識だけの問題ではありません。
協力するための取引コストが高すぎることが、大きな原因なのです。

デジタル化は取引コストを下げる

取引コストを下げる方法はシンプルです。取引に伴う情報、連絡、確認を共有することです。

例えば、グループウェアで予定や担当業務を共有すれば、誰が何をしているのかを聞いて回る必要がありません。
共通のカレンダーを見れば、会議の日程も短時間で決められます。

文書や図面をデータで共有すれば、必要な情報を探しやすくなります。
全員が同じ数字を見れば、前提を揃えるための会議も減らせます。作業履歴が残れば、進捗確認のために何度も連絡する必要もありません。

AIは、蓄積された文書を探す、要約する、回答のたたき台をつくるといった作業を支援します。
情報を探して相手へ伝えるまでの取引コストを、さらに下げることができます。

取引コストが下がると、協力が生まれる

紙や電話が中心の環境では、協力するために相手を探し、予定を合わせ、状況を説明し、何度も確認する必要がありました。
協力によって得られる成果より、そのための取引コストのほうが大きければ、協力は続きません。

デジタル化すると、この関係が変わります。

情報が見える
→ 連絡や確認が減る
→ 取引コストが下がる
→ 協力が成立する

コメントを一つ残す、資料を少し修正する、気づいたことを共有する。
デジタルなら、こうした小さな協力も積み重ねられます。

DXから起きた「協力」

私たちがご支援してきた現場でも、デジタル化によって取引コストが下がり、協力しやすくなる変化が生まれています。

ある製造業のお客様では、図面や作業指示書を探し、必要な情報を書き写すことが大きな負担になっていました。
図面や作業情報をデジタル化することで、情報探索のコストが下がります。
ベテランの知恵を組織で共有し、若手が仕事を引き継ぎやすくなりました。

また、チャットツールの「Slack」を全社導入し、受注〜製造〜配送〜納品〜請求までのステータスを
全社でリアルタイムで共有できるようになりました。これにより社員間の連携はスムーズに

協力は会社の外にも広がる

取引コストが下がる効果は、社内だけにとどまりません。取引先や支援会社とも、必要な情報を共有しやすくなります。

私たちC-tableも、お客様が業務をデジタル化してくださるからこそ、より深く協力できます。
お客様とチャットツール「Slack」でつながり、
同じデータを見ながら進捗や質問、現場での気づきをリアルタイムで共有できます。
やり取りの経緯も関係者に見えるため、確認の往復が減り、初動も早くなります。
もちろん、すべての情報を外部へ公開するという意味ではありません。
相手や目的に応じて、必要な情報を安全に共有することが前提です。

DX、そしてAI活用は、会社を「自社だけで仕事を抱える組織」から、社内外の人と協力して課題を解決できる組織へ変えていきます。

まとめ

DX・AI化は業務効率化はもちろん、より大きな効果は、取引コストを下げることです。
情報を探す、相手に伝える、意思決定する、進捗を確認する。
こうした取引コストが下がれば、これまで難しかった協力が成立します。

効率化は入口です。
その先で、社内の部門が助け合い、お客様、取引先、支援会社とも一緒に協力して価値創出できる。
そこに、DX/AIが経営にもたらす本当の価値があります。