OVERVIEW
概要
- 法人/業種
- 株式会社ユーシン / 段ボール製造
- 地域/従業員数
- 山梨県都留市 / 30名
- つくったもの
- 受発注・図面管理・請求・在庫・経営データをひとつにまとめた、オーダーメイドの基幹システム(Slack連携を含む)
- もともとの課題
- 同じ情報を二度入力していた/製品名の表記がシステムごとに違っていた/約8万枚の紙図面から1枚を探していた/在庫は倉庫で目視確認/経営の数字は試算表を待っていた
- うれしい変化
- 請求業務 90%削減(2人×1日 → 1人×半日)/図面 約8万枚を即時検索/製品別の利益率をリアルタイムで見える化
- 効果が見えるまで
- 段階的に導入し、まず受発注・図面、続いて請求・在庫・経営の順に効果が表れた
- 期間
- 2021年12月〜現在
- この先
- 現場の声を聞きながら、いまも一緒に改善を継続中
SUMMARY
まとめ
▶ きっかけ/課題
伝えるのは口頭、書類は紙、確認は鉛筆。同じ情報を二度入力したり、約8万枚の紙図面から1枚を探したりと、長年の手仕事に多くの時間を割いていました。
▶ 取り組み
既存パッケージではなく、ユーシンの業務フローをじっくり伺ったうえで、ゼロからオーダーメイドで構築。受発注・図面管理・請求・在庫・経営データをひとつにまとめ、段階的に導入しました。
▶ うれしい変化
請求業務は90%削減(2人×1日 → 1人×半日)。約8万枚の図面はタブレットですぐ検索でき、製品別の利益率もリアルタイムで見える化。分かれていた情報が、ひとつにつながりました。
BACKGROUND
口頭・紙・鉛筆。長年の手仕事に支えられてきた業務
株式会社ユーシン様は、山梨県都留市で38年の歴史を持つ段ボール製造会社です。確かな技術力と、お客さまとの信頼関係に強みがあります。長く現場の力で回してきた一方で、業務の進め方には、もう少し楽にできる余地もありました。
受注の登録はMicrosoft Access、請求書と納品書は専用の事務システム。同じ情報を二度入力するのが日常で、製品名の表記がシステムごとに少しずつ違う、ということも起きていました。
とりわけ時間がかかっていたのが、図面探しです。受注のたびに、約8万枚の紙ファイルから目的の1枚を探し出す。図面が見つからないと製品IDが分からず、受注登録に進めません。別の製造ラインで使っている図面を、現場まで取りに行くこともありました。請求書の発行も、締め日には複写式の納品書を一枚ずつホッチキスで留めて封筒に入れ、2人がかりで丸一日。在庫の確認は倉庫で目視、経営状況の把握は会計事務所の試算表を待つ流れでした。どれも現場の努力で丁寧に回していましたが、そこに割く時間は小さくありませんでした。
WHY C-TABLE
なぜ、C-tableに声がかかったのか
「このままにしておきたくない」。そんな思いから、ユーシン様はいくつかのシステム会社に相談していました。ただ、複雑な業務に踏み込んでくれる相手は、なかなか見つからなかったといいます。
きっかけは、地元の企業どうしのつながりでのご紹介でした。ユーシンさまが求めていたのは、既存のパッケージに業務を合わせることではなく、自社の業務フローに合った最適な仕組みをつくること。私たちは、まず業務の流れをじっくり伺うところから始めました。
パッケージに業務を合わせるのではなく、業務にあった仕組みをつくる。そこが出発点になりました。
APPROACH
完成形を一度にではなく、現場の声を聞きながら段階的に
導入は、段階的に進めました。まずは受発注と図面のデジタル化から着手し、現場の声を聞きながら、請求、在庫、経営データへと範囲を広げていきます。
データ移行や細かな調整を一つずつ重ねるうちに、現場の方からも「ここはこう変えたほうが使いやすい」「この画面は、この順番だと迷う」といった声が出てくるようになりました。使う人と一緒につくる。その積み重ねが、現場になじむ仕組みにつながっています。
RESULTS
うれしい変化は、現場・事務・経営、すべてに広がった
90%削減
請求業務
2人×1日 → 1人×半日
約8万枚
図面を即時検索
タブレット1台で完結
リアルタイム
経営データを見える化
製品別の利益率を把握
請求業務は、90%の削減。2人がかりで丸1日かけていた請求書の発行が、1人で半日以内に終わるようになりました。同じ情報を二度入力する必要がなくなり、空いた時間を本来の仕事に向けられています。
図面探しも、大きく変わりました。約8万枚の紙ファイルをめくる必要がなくなり、タブレット上で製品情報と図面が紐づいて表示されます。顧客名や製品名など、いろいろな条件で過去の案件を検索でき、「前回と同じものを」というご依頼にも、その場でお応えできるようになりました。
経営の見え方も変わりました。製品ごとの原価と売価が一覧で確認でき、利益率がリアルタイムで分かります。どの製品が利益を生んでいるかを数字で判断し、次の一手を早く決められる。いまではExcelにデータを書き出して分析することもあります。以前は、あとから採算が分かることもありましたが、その心配がなくなりました。
あわせてチャットツール「Slack」も導入しました。納品や運行、事務の状況がリアルタイムに共有され、QRコードを使った位置情報つきの納品報告で、「今どこで、何が起きているか」を全員が把握できます。うまくいかなかったことを共有するチャンネルも設け、そこから学んで改善を早く回す—そんな文化も根づいてきました。 チームとしての一体感も生まれています。
つくって、終わりにしない
これらの仕組みは、最初に完成形をつくって終わり、というものではありません。導入後も現場の声を聞きながら、いまも一緒に改善を続けています。
業務は変わり続けるもの。だからこそ、つくって終わりにせず、運用しながら一緒に育てていく。長く使える仕組みであるために、これからも伴走します。
INTERVIEW
「2人で丸一日が、いまは1人で半日」
今回の取り組みについて、株式会社ユーシン 代表取締役社長の荻原照仁さんに伺いました。

DX導入以前は、どんなことに時間がかかっていましたか?
伝えるのは口頭、書類はすべて紙、確認は鉛筆。創業以来、典型的な「町工場」でやってきました。現場の力は強い一方で、仕組みの面では伸びしろが大きかった。情報がそれぞれの場所に分かれていたんです。製造に回す受注登録はAccess、お客さまへの請求書や納品書は専用の事務システム。同じ情報を二度入力するのが当たり前で、製品名がシステムごとに少し違う、なんてこともありました。
現場では、具体的にどんなご苦労がありましたか?
一番時間がかかっていたのは、受注のたびに約8万枚の紙図面から、目的の1枚を探す作業です。図面が見つからないと製品IDが分からず、受注登録に進めない。別の製造ラインで使っている図面を、現場まで取りに行くこともありました。
請求書の発行も手間でした。締め日には、複写式の納品書を一枚ずつホッチキスで留めて、分厚くなった束を封筒に入れて送る。これを2人がかりで丸一日かけていました。経営の面でも、会計事務所から試算表が届くのを待たないと、リアルな数字が見えませんでした。
数ある会社のなかから、C-tableに相談された経緯は?
「このままにしておきたくない」という思いで、いくつかのシステム会社に相談したのですが、なかなか踏み込んでもらえなくて。そんなとき、地元の企業どうしのつながりでC-tableさんを紹介してもらいました。他社さんは既存パッケージの導入提案が多かったのですが、C-tableさんは我々の複雑な業務フローを理解して、ゼロからオーダーメイドで構築してくれる。泥臭いデータ移行や現場の調整にも粘り強く取り組んでくれる。そういうパートナーが必要だったんです。
導入後、経営や組織にどんな効果がありましたか?
経営判断のスピードが、ぐっと上がりました。売上・原価・利益率がリアルタイムで分かるので、どの製品が利益を生んでいるかを数字で判断して、すぐ次の戦略を立てられる。いまではExcelにデータを書き出して分析することもあります。Slackには、うまくいかなかったことを共有するチャンネルも設けて、そこから学んで改善を早く回せるようになりました。請求書の発行は、2人で丸一日が、いまは1人で半日。体感では、作業時間は半分以下です。分からないことがあってもSlackですぐ聞ける。その安心感も心強かったですね。
DXを検討している企業へ、メッセージをお願いします。
DXは「やるか、やらないか」の決断次第だと思います。そして進めるには、経営者の「社員が幸せになる会社をつくりたい」という強い思いが欠かせません。ただ、いきなり全部を変えようとすると、現場は戸惑ってしまう。大切なのは、段階的に導入して、現場の声を聞きながら改善を続けることです。実際に使うのは現場の皆さんですから、巻き込んで、会社全体で取り組む。それが成功の鍵だと感じています。DXは、目先のコストや手間を越えてでも取り組む価値のある「未来への投資」だと確信しています。
荻原社長の「社員が幸せになる会社をつくりたい」という願いが、業務に正面から向き合う原動力になり、現場を巻き込みながら、会社全体の変化につながりました。ユーシンの取り組みは、DXが単なるシステム導入ではなく、「自分たちの会社をどうしたいか」という願いを形にしていく道のりであることを教えてくれます。