OVERVIEW

概要

法人/業種
株式会社槙田商店 / 織物・傘の製造(糸の染色〜生地織り〜傘の製造・卸・販売まで自社一貫。1866年創業)
地域/規模
山梨県南都留郡西桂町
つくったもの
発注から製造・仕入・売上・経理までをひとつにした、業務に合わせた社内管理システムを開発。OEMとオリジナルを区分して管理。
もともとの課題
長年使ってきたAccessの社内システムが保守の終了間近。業務の実態とのズレから、同じ情報を入れ直すような二度手間・三度手間が積み重なり、非効率になっていた
うれしい変化
糸から傘までの一貫工程を一つのシステムで/OEM・オリジナルを区分して管理/確定した伝票は経理ロックで保護/EC・在庫連携や予実管理へ拡張
効果が見えるまで
2024年に運用を開始。以降も現場の声に合わせて継続改修
期間
2024年〜継続中
この先
EC・在庫連携や予実管理の拡充、商品マスタの表記揺れ対策、生成AIの活用などを検討

SUMMARY

まとめ

▶ きっかけ/課題

長く使ってきたAccessの社内システムが、保守の終了間近。業務の実態ともズレが生まれ、同じ情報を二度・三度入力するような手間が積み重なっていました。

▶ 取り組み

糸の発注から染色・織り、傘の製造、売上・請求まで—織物・傘づくりの一貫した世界で唯一「槙田商店」だけの工程を、業務に合わせて一つの社内管理システムにまとめました。2024年の運用開始後も、現場の声に合わせて改修を続け、EC・在庫連携や予実管理へと広げています。

▶ うれしい変化

分かれていた工程と情報が一つにつながり、二度手間が解消。OEMとオリジナルを区分して管理ができるようになりました。長く使える基盤の上で、改善を現在も積み重ねています。

BACKGROUND

保守終了が迫るAccess。業務とのズレが、二度手間・三度手間を生んでいた

株式会社槙田商店は、1866年(慶応2年)の創業以来、山梨で織物と傘づくりを続けてきた老舗です。生地織り、傘の製造・卸・販売までを自社で一貫して手がけ、富士山の雪解け水を使った染色や、ジャカード織機による高密度な織物に強みがあります。確かなものづくりが、ブランドの土台になっています。

その業務を長く支えてきたのが、Accessでつくられた社内システムでした。けれど、保守の終了が近づき、長年の間に業務の実態とのズレも生まれていました。同じ情報を、別のシステムや帳票に入れ直す。そんな二度手間・三度手間が積み重なり、現場の負担になっていたのです。確かなものづくりを支える仕組みの面に、これからの伸びしろがありました。

WHY C-TABLE

なぜ、C-tableに声がかかったのか

織物・傘づくりの工程は、長く、複雑です。糸の発注から、整経・染色・織り、整理加工、三巻、そして傘の組立へ。さらに、取引先向けのOEMと、自社のオリジナルとで、管理のしかたも変わります。

生地づくりから傘の組み立てという、自社で一貫した生産ライン。それを可能にする職人たち。これを実現しているのは世界で唯一「槙田商店」だけなのです。

だからこそ、必要だったのは、業務をよく理解したうえで、自社に合わせて一緒に形にしてくれる相手でした。私たちは「システムに業務を合わせるのではなく、業務に仕組みを合わせる」という方針で、現場の流れや、現場で使う呼び方を一つずつ伺いながら設計を進めました。

APPROACH

システムに業務を合わせるのではなく、業務に仕組みを合わせる

① 発注〜製造:糸から傘まで、工程をそのままデジタルに

生地製造管理を起点に、糸の発注、整経・染色・生地加工の依頼、そして傘の組立加工・三巻加工・部材の発注まで、現場の工程と呼び方に沿って画面を用意しました。集計は「管理品番」単位で行いながら、内訳の「柄品番」まで確認できる—現場の見方に合わせた形にしています。

② 仕入・売上・経理:数字を、正確に・守りながら

整経・染色・織り・整理加工といった各種の工賃や仕入を管理し、売上・請求・勘定元帳・入出金までを一つにまとめました。確定した伝票は書き換えを防ぎ、数字の正確さを守れるように実装。取引先向けのOEMと自社オリジナルは、区分して集計できるようにしています。

つくって終わりにしない、伴走

2024年の運用開始後も、打ち合わせを重ねながら、現場の声に合わせて細かな使い勝手を一つずつ整えてきました。画面をスクロールしても得意先名が常に見えるように。入力中にうっかりEnterを押しても、登録が進んでしまわないように。課税・非課税がひと目で分かるように。一覧には合計金額を表示して、確認の手間を減らしました。担当者以外がうっかり売上を登録してしまわないよう、入力のルールも整えています。こうした小さな改善の積み重ねが、現場になじむ仕組みにつながっています。

さらに、受注の見込みを把握する予実管理、ネットショップ(楽天・Shopify)の在庫連携、在庫管理サービス(ZAICO)との連携(生地の状態を「生機」「整理加工」「三巻」などの段階で管理)、売上データの取り込みなど、必要に応じて機能を広げています。商品名の表記揺れには、AI・類似検索による照合も検討しています。

RESULTS

うれしい変化は、分かれていた工程と数字が、ひとつにつながったこと

二度手間を解消

入れ直しがなくなった

工程と数字が一つに

一貫システム

全ての工程を見渡せる

発注〜製造〜売上・請求

拡張性

業務に合った基盤へ

ECや在庫連携など長く使える仕組みへ

業務の実態とズレていた老朽システムが、現場の流れに沿った形に生まれ変わりました。糸から傘までの工程と、仕入・売上・経理の数字が一つにつながり、入れ直しのような二度手間が解消されています。OEM・オリジナルの区分や経理ロックによって、正確さと使いやすさを両立しました。

運用が始まってからも改善は続き、EC・在庫連携や予実管理へと広がっています。つくって終わりにせず、現場とともに育てていく。その伴走が、長く使える仕組みにつながっています。

INTERVIEW

独自のものづくりに、システムを合わせる。現場に寄り添いながら育てる業務システム

今回の取り組みについて、1866年創業の老舗織物メーカー・株式会社槙田商店の6代目代表取締役、槙田洋一さんにお話を伺いました。

1866年創業。時代に合わせて変化してきた槙田商店のものづくり

まず、槙田商店の歴史や現在のものづくりについて教えてください。

槙田商店は1866年、慶応2年の創業です。この地域はもともと織物の産地で、当社も織物をつくるための生糸を扱うところから事業をスタートしました。

戦後、和装から洋装へと生活様式が変わっていく中で、絹織物の技術を傘生地へ応用するようになり、その後はポリエステルやナイロンなどの化学繊維へ移行していきました。

もともとは、お客様からいただいたデザインなどをもとに社内で織物を企画・設計し、地域の機屋さんに織ってもらう「問屋」としての仕事が中心でした。

その後、デザイナーや織物設計用のコンピューターを導入し、試織工場を設け、1996年には自社で製造するための設備も導入しました。

現在では、デザインから織物の企画・製造、さらに傘の縫製まで一貫して手がけることができます。長年積み重ねてきた織物設計のノウハウと、自社で製造までできることが、槙田商店の大きな強みだと思っています。

BtoBからBtoCへ。事業の変化とともに生まれたシステムとのズレ

C-tableに相談する前は、どのような課題を感じていましたか?

もともとはBtoBの仕事が中心でしたが、自社ブランドを立ち上げて、オンラインショップなどBtoCの販売も増えていきました。

事業の形が変わっていく一方で、以前から使っていたシステムでは、実際の業務とのズレが少しずつ出てきたんです。

画面が見づらかったり、入力がしづらかったり。若いスタッフも増えてきて、「なんでこれはこうできないんですか?」といった声も出るようになりました。

それまでお願いしていたのが都内の会社だったので、細かな改修や相談をクイックに進めづらいということもありました。

「システムに業務を合わせる」のではなく、自分たちの仕事に合ったものを

既存のパッケージシステムではなく、C-tableに開発を依頼した理由は何だったのでしょうか?

既存のシステムも検討しましたが、「システムに合わせて業務を変える」という形ではなく、できれば今の自分たちの業務の流れに合わせてつくりたいという思いがありました。

うちのものづくりは結構複雑なんです。

たとえば、最初は糸を重量で管理していて、それが生地になるとメートルになり、さらに反数になって、最終的には製品の本数になる。工程が進むたびに単位も変わっていきます。

そうした独自の工程を既存のパッケージに合わせるのは難しいと感じていました。

その点、C-tableさんは地元の企業なので、困ったときに近くで顔を合わせながら相談できます。できること、難しいことを一緒に話しながら、自分たちの業務に合わせて組み立てていけることは大きかったですね。

見えているのは「画面」だけ。だからこそ、話しながら一緒につくる

実際にC-tableと開発を進める中で、印象に残っていることはありますか?

僕らはシステムの画面しか見えていないので、「ここをちょっと動かせばできるでしょ」と簡単に言ってしまうんですよね(笑)

でも実際には、こちらから見ると小さな変更でも、システムの裏側ではかなり大きな作業になることがある。

そういうときに、「これはこういう理由で難しい」「こうすればできる」と説明してもらいながら、一緒に考えていけたのはよかったです。

槙田商店のものづくりの工程自体もかなり複雑なので、それを理解しながら根気よく付き合ってもらえたことも大きかったと思います。最初からすべて完成したものを入れるというより、実際に使いながら相談して、少しずつ自分たちに合ったものにしていけました。

二重入力を減らし、情報を「誰でも見られる」状態へ

新しいシステムを導入して、実際の業務はどのように変わりましたか?

システム導入後、大きく変わったと感じるのは、同じ情報を何度も入力する必要がなくなり、業務の手間が減ったことですね。また、月中から月末にかけて経理が遅くまで残ることもありましたが、そういった負担も減ってきています。

もう一つ大きく変わったのは、必要な情報を共有できるようになったことです。システム導入前は、過去の発注書や製造履歴が担当者それぞれのExcelなどに入っていて、担当者が不在だと分からないこともありました。

現在はクラウド上で過去の案件を全員が見ることができるので、担当者がいなくても別のスタッフが過去のデータを確認して、発注書をつくることができます。

うちにとって、これまでどんな織物をつくってきたかという履歴は、とても大事な情報です。それをみんなで共有し、次の仕事に生かせるようになったことは大きいですね。

また、工場の生産状況や実績もシステム上で確認できるようになりました。外出先からスマートフォンで確認することもできるので、打ち合わせなどでも数字を見ながら話ができるようになっています。

システムは完成ではない。これからも業務に合わせてアップデートしていく

今後、システムを使ってさらに実現していきたいことを教えてください。

やりたいことは色々あります。

今はオンラインショップの売上を手入力している部分があるので、データをそのまま取り込んで、売上に反映できるようにしたいですね。売上や在庫を一元管理できるようになれば、さらに業務を効率化できると思っています。

入力作業についても、AIを使うことでさらに省力化できる部分もあると思っています。

まだ手書きの伝票も使っているので、スキャンしたものをAIで読み取って、そのままシステムに登録できるようになれば、入力作業そのものを減らせます。

C-tableさんは、システムをつくって終わりではなく、その後も「こういうことができないか」と相談しやすい。

新しい技術についても教えてもらいながら、これからも業務に合わせてシステムをアップデートしていけたらと思っています。