OVERVIEW
概要
- 法人/業種
- 株式会社奥脇製作所 / 製造業(金属加工・板金部品。レーザー加工・プレス・溶接)
- 地域/従業員数
- 山梨県都留市
- つくったもの
- 製品番号ひとつで図面・作業指示書・受注情報を呼び出せる基幹システム。図面のPDF化と工程ごとのチェック、過去履歴のひもづけ(トレーサビリティ)、作業指示書の標準化、EDI受注の自動取込、納期の自動算出、QRコードによる出荷管理(誤出荷の防止)までを段階的に開発
- もともとの課題
- 図面・注文書・作業指示書が別々の場所にあり「探す」に時間/最新版の判別や整理が難しい/取引先ごとに違うデータの取り込みや、指示書づくり・納期計算が担当者ごとの手作業で、特定の人に頼りがちだった
- うれしい変化
- 「探す」がほぼゼロに/指示書・納期判断・出荷を標準化し、誰でも短期間で回せるように/受注が増えても少人数で対応/誤出荷をシステムが防止/不良時に「いつ・どの回」をたどれる/経理の計上もスムーズに
- 効果が見えるまで
- 最初のステップ(図面・指示書)の導入で即効果。以降も約3年、継続して改修
- 期間
- 2022年〜継続中・約3年の伴走
- この先
- 塗装工程の管理、QRコード出荷のさらなる活用、売掛照合などへ段階的に拡張予定
SUMMARY
まとめ
▶ きっかけ/課題
案件ごとに、注文書・図面・作業指示書を別々の場所から探して印刷する運用が続いていました。最新版かどうかの判別や整理も難しく、取引先ごとに違うデータの取り込み、指示書づくり、納期計算は担当者ごとの手作業。特定の人に頼りがちでした。
▶ 取り組み
業務フローを一つずつ伺い、製品番号ひとつで図面・指示書・受注をまとめて呼び出せる仕組みを、3つのステップで段階的に開発。図面への工程チェックや履歴のひもづけ、EDI受注の自動取込、納期の自動算出、QRコードでの出荷管理へと広げ、Slackで日々やりとりしながら改善を重ねました。
▶ うれしい変化
「探す」作業がほぼなくなり、指示書・納期・出荷が標準化。特定の人しかできなかった作業を、誰でも短時間で回せるように。受注が増えても少人数で対応でき、誤出荷の防止や不良時の追跡、経理の計上までスムーズになりました。
BACKGROUND
「探す」に追われていた前工程。当たり前の手作業に、時間がかかっていた
奥脇製作所は、工作機械部品などに使われる板金部品を手がける、金属加工の会社です。難しい案件にも「できません」とは言わず、丁寧な仕事で信頼を重ねてきました。だからこそ受注は途切れません。
その一方で、案件が増えるほど前工程の手作業が積み上がっていく—そこに、これからの伸びしろがありました。
注文が入ると、まず現場の図面を探す。作業指示書は担当者ごとのやり方でほとんどが手打ち。取引先ごとにかたちの違う受注データから必要な項目だけを毎回手作業で抜き出し、納期はExcelで1件ずつ計算する。不良が出たときに「いつ・どの回のものか」をたどるのも、簡単ではありませんでした。
一つひとつは現場の工夫で回っていましたが、特定の人がいないと進みにくい、属人的な部分が残っていたのです。当時の様子は、後半のインタビューで詳しく語っていただいています。
WHY C-TABLE
なぜ、C-tableに声がかかったのか

入り口は、「図面に、工程ごとのチェックを書き込めるようにしたい」という、顧客からの要望でした。
それまでにも他社のシステムのデモや既製のパッケージ製品を検討したことはあったものの、会社ごとに業務の進め方は違うため、出来合いの仕組みではしっくりこない。必要だったのは、自社の業務に合わせて、一緒に形にしてくれる相手でした。
いきなり全部を変えるのではなく、まずは小さく始めて、現場で確かめながら広げていく。実際に話してみると、何でも柔軟に相談に乗ってくれる——
そう感じていただけたことが、出発点になりました。
APPROACH
全部を一度にではなく、現場の困りごとから一つずつ
開発は、3つのステップで段階的に進めました。まず着手したのが、図面のPDF化です。製品番号を入力すれば、図面・作業指示書・受注情報がまとめて表示される。さらに、加工・曲げ・溶接といった工程ごとのチェックを図面に直接入れられるようにし、チェックを入れても次の手配でその図面をそのまま使えるよう設計しました。過去の注文履歴もひもづけ、不良が出たときに「いつ・どの回のものか」をたどれる。同じ製品が複数同時に流れていても、区別して追えるようになっています。
続くステップでは、取引先ごとにかたちの違う受注データ(EDI)の取り込みを自動化しました。たくさんの項目から必要な数項目だけを毎回手作業で並べ替えていた作業が、自動で処理できるように。納期も、外注や工程を見込んで、希望日から逆算した目安を自動で算出します。3つ目のステップが、QRコードによる出荷管理です。専用の機械を買い足さず、誰もが使い慣れたスマートフォンで読めるQRを選びました。出荷してはいけないものはシステムが弾き、パレットと納品先の整合性も自動でチェックします。
進め方の支えは、日々の密なやりとり
開発のあいだは、Slackで日々やりとりを重ね、2週間に1回の打ち合わせでは、ご要望をいただくたびに「まず動くもの」をお見せして、見ていただきながら直していきました。「できません」とお返しするのではなく、まずはどうしたら実現できるかを考える。だからこそ、ざっくりとしたご相談でも、少しずつ形になっていきました。
やりとりを重ねるなかで、私たちも奥脇製作所の業務への理解を深めていきました。最近では、打ち合わせの場で生成AIを使ってロジックを設計・実装することもあり、開発の進め方そのものも、一緒に進化しています。
RESULTS
うれしい変化は、誰でも回せて、受注増にも応えられたこと
1/4に短縮
出荷登録
以前は1〜2時間が約35分に短縮(QR出荷)
3時間→数分
受注データの取込
手作業の並べ替えを自動化
誰でも
属人化を解消
新しい人も短期間で習得
図面を「探す」作業がなくなり、指示書づくりや納期の判断も標準化。これまで特定の人しかできなかった作業を、新しく入った方でも短期間で回せるようになりました。受注が増えても人を増やさずに対応でき、たとえば溶接が得意な人を溶接に集中させ、その人が抱えていたデータ作業はシステムが肩代わりする—そんな配置の工夫もできるようになりました。
出荷はQRコードで速く・確実に。誤出荷はシステムが防ぎ、不良が出たときも「いつ・どの回のものか」をすぐにたどれます。経理の面でも、毎月手作業で突き合わせていた納品実績の確認が要らなくなり、日々の計上がスムーズになりました。
変化の実感は、このあとのインタビューでぜひお読みください。
INTERVIEW
「面倒くさいと思っていることが、実はDXの入り口なんです」
今回の取り組みについて、奥脇製作所の奥脇様、滝口様、山田様にお話を伺いました。
システムを入れる前は、どんなところに時間がかかっていましたか?
注文が入ると、まず現場の図面を探すんです。番号順にはなっているのですが、それでも探すのに時間がかかって。慣れていないと、それだけでかなりの時間をとられることもありました。
版が新しくなっていれば、それが本当に最新のものか、いま使っていいものなのか、判別も難しくて。同じ図面が何枚も同じ場所にある、別のラインに取りに行く、なんてこともありました。
作業指示書も、担当者によって作り方がバラバラで、ほとんど手打ち。取引先ごとに受注データのかたちも違って、たくさんの項目から必要な数項目だけを毎回手で並べ替えていました。納期もExcelで1件ずつ計算して。それが「当たり前」だったんです。
C-tableに頼もうと思った、きっかけや決め手は?
入り口は、「図面に工程ごとのチェックを書き込めるようにしたい」という、ちょっとした顧客からの要望でした。それまで、他社のデモを見たり、既製のパッケージを検討したりもしたんですが、「うちが本当に求めているのは、これなのかな」と思うと、どうも合わなくて。
会社ごとにやり方が違うので、出来合いだと、なかなかぴったりこないんですよね。
その点、うちの業務に合わせて、一緒に作ってくれるのがよかったです。実際に話してみると、何でも柔軟に対応してくれて。
進め方で、印象に残っていることは?
正直、最初は不安もありました。「DXの会社」と聞くと、効率の話ばかりで、現場のことを分かってくれるのかな、やりづらいんじゃないかな、と。でも実際は逆で。こちらのざっくりした話でも、「とりあえずやってみますね」とまず形にして見せてくれる。「できません」と言われたことは、ほとんどなかったです。
やりとりもしやすかったですね。Slackで、手書きをスキャンして画像を添付して話すこともありました。電話だと説明しづらいことも、画像でやりとりできたのも大きかったですね。
続けるうちに、こちらの業務もよく分かってくれて、取引先の名前を言うだけで話が通じる。安心感がありました。
2週間に1回の打ち合わせで直して、また直して。3年、一緒に育ててきた感じです。
導入後、どんな変化がありましたか?
まず、図面を「探す」作業がほとんどなくなりました。製品番号を入れれば、図面も指示書も受注情報も一度に出てきます。指示書づくりや納期の判断も標準化できて、特定の人しかできなかった作業を、新しく入った人でも短期間で回せるようになりました。
受注がかなり増えたのですが、昔のやり方なら、とても間に合わなかったと思います。
受注が増えても、人を増やさずに処理ができて、空いた人をほかの工程に回すこともできるようになりました。
出荷もQRコードにしてから、ぐっと速く、確実になって。出してはいけないものはシステムが弾いてくれるので、ミスも圧倒的に減りました。不良が出ても、いつのものかすぐ分かる。経理のほうも、毎月の突き合わせがなくなって、楽になったと聞いています。
同じような課題を持つ製造業の方へ、ひとことお願いします。
そもそも「これが悩みだ」と思っていない会社が、多いと思うんです。うちもそうでした。「いつも面倒くさいな」と思っていること、それがそのままDXの入り口なんですよね。
「面倒くさい」を、ひとつずつ仕組みに変えていく。その積み重ねが、誰でも回せる現場と、受注増にも応えられる余力につながりました。奥脇製作所では、塗装工程の管理など、次の取り組みも続いています。つくって終わりにせず、これからも一緒に育てていきます。