OVERVIEW
概要
- 組織/分野
- 都留市教育委員会 生涯学習課 / 自治体(スポーツ振興・施設管理)
- 地域
- 山梨県都留市
- つくったもの
- 公共体育施設のオンライン予約・決済システム(申請・抽選・料金計算・決済をオンライン化。複雑な調整業務は職員の判断として残す設計)
- もともとの課題
- 予約に市役所への2回の来庁が必要。職員も窓口・電話対応に時間を取られ、独自の調整業務が複雑で「システム化は難しい」とされていた
- うれしい変化
- 申請から決済までスマホで完結/オンライン予約率は開始1年で55%→現在70%/利用者アンケートで100%が「便利になった」/窓口・電話対応が減少
- 効果が見えるまで
- リリースから1年で予約申請の55%がオンラインに(その後70%へ)
- 期間
- 【要確認①|開発・リリースの時期】
- この先
- 窓口へのタブレット設置などでオンライン利用率をさらに向上。デジタルと「顔が見える」調整の両立を継続
SUMMARY
まとめ
▶ きっかけ/課題
市内体育施設の予約には、市役所への来庁が2回必要でした。職員も窓口・電話対応に時間を取られ、さらに予約決定には独自の調整があるため、「システム化は難しい」と、長くデジタル化が見送られてきました。
▶ 取り組み
利用者・市役所双方の業務をていねいに伺い、調整が必要な部分は職員の判断として残し、申請・抽選・料金計算・決済といった定型部分をオンライン化。全部はシステム化しない切り分けで設計しました。
▶ うれしい変化
申請から決済までスマホで完結。オンライン予約は開始1年で55%、いまは70%に。利用者アンケートでは100%が「便利になった」と回答し、窓口・電話対応も減りました。
BACKGROUND
予約に2回の来庁。複雑な調整が、デジタル化を「難しい」にしていた
都留市の公共体育施設を利用するには、市役所の開庁時間内に窓口で予約手続きをし、後日あらためて、抽選結果の確認と料金の支払いに訪れる必要がありました。予約のたびに2回足を運ぶ手間は、市民の皆さんにとって小さくない負担でした。
職員の側も、通常業務に加えて窓口対応や問い合わせの電話対応があり、予約業務の負荷が課題になっていました。
オンライン化は以前から検討されてきましたが、予約が決まるまでのプロセスに独自の調整が含まれている点がネックでした。前月に予約できなかった団体を優先する、大会を控えた団体に練習枠を確保する、競技によっては体育館を分けて複数の団体が使えるようにする—こうした判断は個別の状況に応じて行われており、一律のルールに落とし込むのが難しい。「マニュアル化が難しく、システム化は難しいのでは」。そう考えられてきたことが、長くデジタル化を見送ってきた背景にありました。
WHY C-TABLE
なぜ、C-tableに声がかかったのか
必要だったのは、機能を並べることではなく、まずこの複雑な業務プロセスを理解・整理することでした。市役所の担当の方ご自身も、関わり始めたときは予約のプロセスを理解するのに苦労されたといいます。
私たちは、利用者側・市役所側の業務を丁寧に伺うところから始めました。利用予約の申請書式や各種の条例も、打ち合わせのなかで一つずつ確認して開発に着手しました。
APPROACH
「全部はシステム化しない」という選択
ヒアリングを進めるなかで見えてきたのは、「市民に広く公平に使ってほしい」という市役所の思いと、「便利に施設を使いたい」という市民のニーズは、本来ぶつかるものではない、ということでした。複雑に見えた調整業務は、その両方を実現するための仕組みだったのです。
そこで、調整が必要な部分は引き続き職員が判断し、予約申請・抽選・料金計算・決済といった定型のプロセスをオンライン化する、という方針にしました。全部をシステムに置き換えるのではなく、人の判断を残す箇所と、自動化する箇所をはっきり切り分ける設計です。
特に複雑だったのが料金計算です。施設・時間帯・利用区分ごとに条例を照らし合わせ、すべてのパターンを実装しました。市民の皆さんが申請から決済まで迷わず進められるよう、画面はできるだけシンプルにしています。
RESULTS
うれしい変化は、市民も職員も「来なくてよくなった」こと
80%[b]
オンライン予約率
開始1年で55% → 現在73%
100%
利用者満足度
オンライン利用者アンケート
2,000件+
年間の予約申請を処理
全施設の申請をシステム上で
リリースから1年で、予約申請の55%がオンライン経由になりました。いまは70%まで伸びています。利用者アンケートでは全員が「便利になった」と回答し、年間2,000件を超える申請が、このシステム上で処理されています。

職員の側も、窓口での予約受付や電話の問い合わせ対応が減りました。紙で管理していた予約がオンラインに変わり、確認の手間も少なくなりました。
導入の時期には、当社の開発担当が市役所に常駐し、来庁された利用者にデモをお見せしながら使い方をご案内しました。独自の調整業務はいまも職員の方が手動で行っており、効率化と「顔が見える」丁寧さを両立させた運用になっています。
VOICE
「デジタルを取り入れながら、“顔が見える”地方の良さも残したい」
今回の取り組みについて、都留市教育委員会 生涯学習課 スポーツ振興担当の髙部拓 様に伺いました。
― これまでの課題は、どんなところにありましたか?
オンライン予約が始まる前は、施設を予約するために、市民の皆さんに2回、市役所までお越しいただく必要がありました。まず開庁時間内に窓口で予約のお手続きをしていただき、後日あらためて、抽選結果の確認と利用料金のお支払いにお越しいただく、という流れです。市民の皆さんには、ずいぶんお手間をおかけしていました。職員の側も、通常業務に加えて窓口の予約対応や、予約状況のお問い合わせ対応があり、負担が大きくなっていました。
― 長年このような運用だった背景には、何があったのでしょう?
実は、予約が決まるまでのプロセスが少し複雑なんです。すべてを先着順のようなシンプルな方式にしているわけではなく、市民の皆さんがスポーツ施設を最大限に活用できるよう、独自の調整をしています。たとえば、先月予約できなかった団体を優先したり、大会を控えた団体に練習の枠を確保したり。競技によっては、体育館の一部を使うことで、ほかの団体も同時に使えるケースもあります。
こうした調整は個別の状況に応じて行うので、マニュアル化が難しく、一律のルールに落とし込みにくい。だから「システム化は難しいのでは」と思っていました。

― 今回のプロジェクトは、いかがでしたか?
私自身、この業務に関わり始めたときは、予約のプロセスを理解するのにかなり苦労しました。ですから設計の段階で、まずその複雑なプロセスを理解してもらう必要がありました。申請の書式や、いろいろな条例についても、打ち合わせのなかで一つずつ確認しました。かなり大変だったと思いますが、C-tableがこちらの業務の苦労も理解してくれて、スムーズに進められたと感じています。
導入後は、同じような予約業務をしている他の市区町村の方から、開発内容についてお問い合わせをいただくこともあります。昔ながらの窓口業務が主流の地方で、先進的な仕組みに更新できたことは、私自身にとっても多くの学びになりました。窓口での予約対応も減り、紙で管理していた予約も、いまはオンラインで簡単に確認できます。お問い合わせの電話対応の時間も短くなり、職員の業務効率も上がりました。
― 市民の皆さんからの反響は、いかがですか?
「とても便利になったよ」という声をいただいています。市役所まで足を運ばなくてよくなって助かる、と。導入後は予約の約70%がオンラインになりましたので、その便利さが伝わっているのだと思います。市役所としても、手応えを感じています。
― これから、目指していきたいことを教えてください。
オンライン利用率を、さらに上げていくのが目標です。まだ使われていない市民の皆さんにも興味を持っていただけるよう、オンラインのメリットや手続きの簡単さをお伝えしていきたいと思っています。
一方で、調整業務は、いまも手動で並行して行っています。効率だけを考えれば、ルール化したほうがいいのかもしれません。10万人規模の自治体では、こうした調整はおそらく難しいと思います。でも都留市の規模なら、まだできる余地がありますし、顔が見える地方の良さでもあると思っています。デジタルを取り入れながら、地方ならではの良さも残しつつ、市民の皆さんがスポーツ施設を最大限に活用できるように、利便性と満足度を高めていきたいです。
全部を仕組みに置き換えるのではなく、人が判断する余白を残す。その選択が、利便性と「顔が見える」丁寧さの両立につながりました。都留市では、窓口へのタブレット設置などで、これからもオンラインの良さを少しずつ広げていく予定です。