OVERVIEW

概要

組織/分野
都留市役所税務課 / 自治体
地域
山梨県都留市
つくったもの
LINEと連携した来庁予約システム(LINE IDと連携したID基盤+来庁予約管理システム。LINE枠・電話枠を一つのシステムで一元管理)
もともとの課題
確定申告相談の電話予約が、期間中1,000件超。市民は電話がつながりにくく、職員は対応に時間を取られ、予約枠はExcelの突合運用だった
うれしい変化
市民がLINEから24時間予約できるように/初年度でLINE経由の予約が約20%/LINE・電話枠を一元管理し、Excelの突合が不要に
効果が見えるまで
2023年2月1日リリース。その年の確定申告で、約20%がLINE経由の予約に
期間
2022年10月下旬 開発開始 → 2023年2月1日 リリース
この先
確定申告以外の来庁予約への展開、LINEのpush通知を活かした市民への情報発信を検討

SUMMARY

まとめ

▶ きっかけ/課題

コロナ禍で、確定申告相談を予約制に。電話予約は期間中1,000件を超え、市民は「つながりにくい」、職員は対応に多くの時間を割いていました。

▶ 取り組み

使い慣れたLINEを入り口にした来庁予約システムを開発。機能を複雑にしすぎず、市民の使いやすさと職員の運用を対話ですり合わせました。LINE枠と電話枠は、一つのシステムで一元管理します。

▶ うれしい変化

市民はLINEから24時間予約できるように。初年度からLINE経由の予約が20%以上。来庁予約へのご意見も大きく減少。Excelの突合がなくなり、誰が開いても最新の予約状況が分かるようになりました。

BACKGROUND

電話予約1,000件超。市民も職員も、もう一歩楽にしたかった

都留市役所では、確定申告相談の来庁予約を電話で受け付けていました。コロナ禍の前は予約制ではなく来庁順の受付でしたが、感染予防の観点から予約制に切り替えたところ、期間中に1,000件を超える電話予約が集中するようになりました。

市民にとっては、市役所の営業時間内にしか電話ができず、繁忙期はつながりにくい状況が続きます。職員にとっても、通常業務に加えて電話対応に多くの時間を割く必要がありました。予約枠の管理はExcelの共有ファイルで行っていましたが、不具合も出やすく、各自が別々のシートで管理して最後に突合する、という運用になっていました。

この状況をきっかけに、庁内のDX推進の一環として、LINEを活用した来庁予約システムの導入が決まりました。

WHY C-TABLE

なぜ、C-tableに声がかかったのか

国全体で「自治体DX推進計画」が示され、都留市でも、デジタル技術やAIの活用で市民の利便性を高めつつ業務を効率化し、人の力をより良い行政サービスへ—という全庁的なDXを進めていました。来庁しなくてもサービスを使える「デジタル市役所」の検討も進むなかで、確定申告で抱えていた課題の解決手段として、LINEを使った来庁予約に目が向きました。

都留市役所が大切にしていたのは、職員の効率化だけでなく「市民が使いやすいこと」。ただ、要件を決める段階では市民のニーズがまだ具体化していません。私たちは、ほかの事例を共有しながら、市民目線での設計を一緒に考えるかたちで関わりました。

APPROACH

「シンプルにしたこと」で、受け入れやすくなった

当初は、「多くの市民が使いやすいシステムを」と、たくさんのパターンを検討していました。けれど対話を重ねるなかで、機能を複雑にするより、シンプルにしたほうが市民に受け入れられやすい、という方向に落ち着いていきます。あえて欲張らない。その判断が、結果的に使いやすさにつながりました。

入り口に、使い慣れたLINEを選んだことも大切なポイントでした。新しいアプリのインストールを求めると、「めんどくさい」と敬遠されてしまう場面は、自治体では少なくありません。普段使っているLINEなら、「試してみよう」と思う人を取り込めます。

開発は、私たちの開発担当が現場のご担当者から直接お話を伺いながら、要件を固めていきました。2週間に1回、実際に動くシステムを見ていただいては直す—その往復を重ねます。「どこまでをシステムでやるか」の線引きも、対話のなかで一つずつ決めていきました。2022年10月下旬に開発を始め、2023年2月1日にリリース。タイトな日程でしたが、LINE予約枠と電話予約枠を同じシステムで管理できる構成で公開しました。

RESULTS

うれしい変化は、市民と職員、両方の負担が軽くなったこと

約33%

LINE経由の予約

高齢者中心でも

1,000件+

期間中の予約を管理

LINE・電話を一つのシステムで

一元管理

Excelの突合から脱却

誰でも最新の予約状況を確認

LINE IDと連携したID基盤と、市役所が使う来庁予約管理システムを新たに開発し、両者をつなげました。これにより、市民はLINEから24時間いつでも来庁予約ができるようになりました。

初年度の確定申告では、全体の約20%がLINE経由の予約に。来られる方の多くが高齢の方であることを考えると、大きな一歩です。例年と比べて、来庁予約に関するご意見も大きく減りました。

職員側にも変化が出ています。電話での予約対応が減り、窓口業務に集中しやすくなりました。LINE予約枠と電話予約枠を同じシステムで管理できるため、Excelの突合作業も不要に。どの職員が開いても、最新の予約状況がすぐ分かります。

INTERVIEW

「市民の皆さんに、ご満足いただけたと実感しています」

今回の取り組みを、中心になって進めてこられた、都留市役所 税務課 市民税係 長谷川 千絵子様にお話を伺いました。

今回の取り組みを始めた経緯を教えてください。

コロナ禍の前は、確定申告相談の受付は予約制ではなく、市役所に来てから順番に待っていただく形でした。感染予防の観点から予約制が必要になり、まずは電話予約を始めたんです。

電話予約は、ほかの来庁予約でも一般的な手段でしたが、やってみると思いのほか大変で。通常業務に加えて、確定申告の期間中だけで約1,000件の電話予約対応が必要になり、職員の負担がかなり増えてしまいました。市民の皆さんからも、「電話がつながりにくい」「予約しづらい」というお声が寄せられていました。

ちょうど国全体で「自治体DX推進計画」が示され、都留市でも全庁的にDXを進めていたところでした。来庁しなくてもサービスを使える「デジタル市役所」の検討も進んでいて、確定申告で抱えていた課題の解決にもなるのでは、と。庁内のDX推進ワーキングに相談し、「都留市公式LINEアカウント」の「なんでも予約システム」を導入することになりました。

実際に導入してみていかがでしたか。

今回(2023年度)の確定申告では、全体の約20%がLINEを通じた予約でした。確定申告に来られる方の多くが高齢の方であることを考えると、これは大きな成果だと思います。例年と比べて、来庁予約に関するご意見も圧倒的に少なく、市民の皆さんにご満足いただけたと実感しています。

職員の負担も軽くなりました。実感している点が2つあって、1つは電話予約の件数が減り、職員が電話対応に追われなくなったこと。もう1つは、システムの信頼性です。今回はLINE予約枠と電話予約枠を同じシステムで管理できるように開発してもらいました。これまではExcelの共有機能で管理していて、不具合も多く、各自がシートで管理して最後に突合する形でした。それが、誰でも最新の情報を確認できるようになって、前の年よりずっとスムーズに進められました。操作もシンプルで、どの職員が使っても迷わなかったのもよかったです。

今回の取り組み全体を振り返って、いかがでしたか。

「多くの市民が使いやすいシステムを」という理想を追いかけるほど、「どこまでをシステムでやるか」の線引きが難しくて。職員の効率化だけが目的ではなく、市民が使いやすいことが何より大切です。ただ、要件定義の段階では市民のニーズがまだ具体化していないので、バランスを取る必要がありました。C-tableさんには、進行中にほかの事例を共有してもらいながら、市民目線での開発という点でも支えてもらいました。

当初は多くのパターンを検討していたのですが、C-tableさんの提案で「そこまで複雑にしなくていい」と整理できました。むしろシンプルにしたことで、受け入れやすくなったと思います。LINEを知って「試してみよう」と思う層を取り込めたのもよかったです。

一度伝えたことへのレスポンスが速くて正確で、取りこぼしがなかったことにも感心しました。公開までの日程はとてもタイトでしたが、何かあっても慌てず、修正も迅速に対応してもらえて、安心感がありました。

今後について、考えていることを教えてください。

自治体は市民サービスのためにいろいろなシステムを作りますが、新しいものは「めんどくさい」と敬遠されることもあります。今回、使い慣れたLINEを活用したことで、その入りにくさを和らげられたのではと思います。今後はLINEのpush通知を使って、市民の皆さんに直接お知らせを届ける手段にもなりそうで、そこも期待しています。

一方で、確定申告の相談では、まだ紙が残っている部分もあります。申告内容によって必要な書類が違い、その煩雑さから、ここでも「めんどくさい」と言われてしまう。煩雑な手続きをできるだけ簡単にして、誰でも取り入れやすくすることが、本当のICT化だと思っています。市民が気軽に使える来庁相談の仕組みを、これからも広げていきたいです。

使い慣れた道具を入り口にし、機能はあえて欲張らない。その選択が、幅広い世代の「使ってみよう」を後押ししました。都留市役所では、整えたLINEの基盤を、確定申告以外の予約や市民への情報発信へと広げていく予定です。